• 『ルパン三世PART6』シリーズ構成・大倉崇裕/ルパン対ホームズ、宿命の対決はミステリアス
  • 『ルパン三世PART6』シリーズ構成・大倉崇裕/ルパン対ホームズ、宿命の対決はミステリアス
2021.11.13

『ルパン三世PART6』シリーズ構成・大倉崇裕/ルパン対ホームズ、宿命の対決はミステリアス

原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV


◎完成された世界観と何でもできる自由さ◎

——それぞれのエピソードの内容には、シリーズ構成として何かオーダーを?

大倉 樋口さんのエピソードだけは「ルパン対ホームズ」と関わりがあるので、整合性をとるためにいろいろやり取りがありましたが、それ以外はこちらからは何も注文せずにお任せしました。芦辺さんも、提示した “お題” について以外はお任せでしたし、他のみなさんにもこちらからは何も注文せず、それぞれにお任せしました。ちょっと冒険ではあるのですが、みなさんの個性を活かしていただくのが大事だと思ったので。フィーチャーするキャラクターなども指定せずに、好きに書いてくださいとお願いしました。
実際、私が『PART5』で1本だけ脚本を書いた時に、同じように言われたんです。好きな題材で好きに書いてもらって構わないからと言っていただけて、だからこそ書けた部分もあったんですよ。その経験もふまえて、もう好きにやってください、と。
結果としてあがってきた脚本は、不思議とネタのかぶりもないし、描かれるキャラクターもわりと分散されているし、何より面白い脚本ばかりだったので、やはり正解だったなと思っています。毎回、脚本が届くたびにワクワクして読んでいました。

——ご自身では、実際にルパンファミリーを動かして脚本を書いて見て、どんな印象をお持ちになりましたか。

大倉 どのキャラクターにも二面性があるんです。格好良い部分と抜けている部分があって、どっちか片方では成立しない。そこは難しいところでした。そして、それぞれのバランスが絶妙。あのメンバーの配置、立ち位置がベストバランスなんですよね。銭形も含めて、誰かひとりが欠けても成立しない。個々のエピソードに登場しないメンバーがいるケースもありますが、最終的に大団円を迎えるにあたっては、ひとりでも欠けたら成立しない。非常に完成された世界観がある。
でも一方で、その完成された世界観の中で、実は何でもできるという自由度もある。言葉で説明はしにくいのですが……狙って作れる世界観ではない。そういう偉大さは強く感じました。

——書いてみて印象的だったキャラクターはいますか。

大倉 個人的には銭形が好きなので、今回も銭形を描くことができたのがうれしかったですね。ただし、銭形をどこまで格好良くしていいかという問題があって(笑)。どこまで優秀に描いていいのか、彼は本当に優秀なのかどうなのか……これも二面性の問題だったりするのでしょうが。そのバランスの難しさも含めて、やはり書いていていちばん楽しかったのは銭形です。

——確かに、銭形はキレ者すぎるとちょっと違う気がしますが、まったく使えない男というのも違う気がしますね。

大倉 そうなんです。マヌケに描きすぎてもダメだし、難しいところなんです。本気を出したらルパンを捕まえられそうな気もするし、「わざと捕まえてないんじゃないの?」とどこかで感じさせたりもするし。論理的に突き詰めていくと成立し難いキャラクターなんですが、その微妙なところを攻めていくのがとても面白いです。
あとは、五ェ門の扱い方が難しかったというのもありますね。五ェ門はやっぱり出てくると無敵なので、いろいろ解決してしまう。では、五ェ門抜きで話を進めればいいのかというと、それもちょっと違うんです。やっぱり五ェ門はいてほしい。そこもやはりバランスの問題で、無理やり出した感は絶対に感じさせたくないし、五ェ門がここにいる必然性ってなんだろうと考えていくと、次元とか銭形とは違った展開が必要になってくる。そういう難しさがありましたね。

——では最後に、『PART6』を観ているファンへメッセージをお願いします。

大倉 今までの『ルパン三世』のイメージとは全体的に、特にメインストーリーは違うと思いますが、やはりホームズというキャラクターの活躍は、見どころのひとつかなと思います。また、テーマがミステリーということで、わりとしっかり「ミステリーもの」をやっています。これまで、あまりミステリーに馴染みのない方にも、「ミステリーってこういうものなのか」という面白さの片鱗みたいなものに触れていただき、興味をもっていただければ嬉しいなと思います。

原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV

アニメージュプラス編集部

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