◎豪華脚本陣参加の裏側◎——「ルパン対ホームズ」のエピソードがシリーズ全体の軸になる一方で、豪華な脚本陣が参加する個別のエピソードもありますね。まず、この脚本陣はどのように選ばれたのでしょうか。
大倉 ありがたいことに、これだけのみなさんに参加いただけたのは、結果としては「ルパンのおかげ」です。私が「こういう方にお願いしたい」と提案した人もいますし、トムスさんから「こういう方はどうでしょう」とご提案も受けたりして、ダメ元でとりあえず頼んでみたという面もありましたが、結果的に断られた人はいないんです。それはやはり『ルパン三世』という作品の魅力のおかげです。
——それにしても、豪華なメンバーです。
大倉 そうですね。たとえば辻真先さんに関しては、ミステリー小説の大先輩でもありますし、アニメの脚本に関しても、私自身、辻さんが脚本を書かれた作品を見て育っていますから。やっぱり伝説です。普段ミステリーの会などでも親しくさせていただいているので、ぜひ書いていただきたいなと最初にお名前が浮かびましたが、幸いご快諾いただけました。
——辻さんは過去に『ルパン三世』のノベライズは手掛けていらっしゃいますが、本編の脚本は今回がはじめてだとか。
大倉 私も実は、それを知らなくて。絶対やっているだろうと思い込んでいたというか、過去のシリーズのEDクレジットで「脚本/辻真先」と出ているの、勝手に見た気になっていました(笑)。でも、実際にはお書きになっていなかったということで、驚きました。
——他のみなさんは、どのように選ばれたのでしょうか。
大倉 樋口明雄さんとはパーティーなどで面識があり、SNSでもつながっていましたが、昔『ルパン三世』の小説版を書かれていて。やはり『ルパン』を好きでよく知っている人に書いてもらいたかったので、声をかけさせていただきました。
芦辺拓さんに関しては、シリーズに入れたい「お題」がひとつあり、お願いできるのは作風からいって芦辺さんしかいないなと思いました。そして芦辺さんも予想通り、『ルパン』が大好きで。ご快諾をいただいたという感じです。
湊かなえさんに関してはトムスさんからのご提案でしたが、私は当時、面識がなかったんです。でも、同じ新人賞を受賞しているし、出版社の担当さんが同じ人だったという縁もあったので、ダメ元で頼んでみましょうと。そうしたら、やはり湊さんも『ルパン』のファンということで、快く引き受けてくださいました。
そして、みなさんが特に気になったのは押井守さんだと思いますが、押井さんと私は空手仲間なんですよ。同じ道場で10年くらい空手をやっている兄弟子で、一緒に飲みにも行ったり、個人的にとても親しくさせていただいていたました。それで、これもダメ元で、稽古が終わって着替えている時に「今度『ルパン』をやるんですが、脚本を書いてくれませんか」と聞いてみたら、その場で「いいよ」って即答でした。「押井さんに頼んだら『いいよ』って言われちゃったんですけど」とトムスさんに報告したら、驚かれました(笑)。
原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV