• 『映画 すみっコぐらし』大森貴弘監督が語る新たな挑戦と届けたい思い
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2021.11.03

『映画 すみっコぐらし』大森貴弘監督が語る新たな挑戦と届けたい思い

(C)2021 日本すみっコぐらし協会映画部

すみっこが落ち着く、ちょっとネガティブだけど可愛い人気キャラクター『すみっコぐらし』の劇場アニメ第2作『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』が11月5日に公開される。
2019年に公開された前作『とびだす絵本とひみつのコ』がSNSを中心にこどもから大人まで幅広く支持され大ヒットを記録したことから、早くも大きな期待が寄せられている本作は、『地獄少女』『夏目友人帳』『海月姫』の大森貴弘監督、そして脚本に『聲の形』『若おかみは小学生!』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』などを手がけた吉田玲子が参加していることも大きな注目ポイントとなっている。
新たなすみっコたちの物語はいかなる感動を届けてくれるのか、本作の魅力について大森監督に話を伺った。
▲大森貴弘監督

――スタッフの中に大森監督の名前を見て驚きました。これまで手掛けられてきた作品とはテイストが違うイメージを持ったのですが、『すみっコぐらし』はご存じでしたか。

大森 キャラクターは見たことがありましたが、前の劇場版が大ヒットしたくらいのことしか知りませんでした。今回監督のオファーがあった時、おっしゃるとおりこのジャンルのアニメは手がけたことがなかったので、「自分にできるだろうか?」という不安はありました。

――1作目の『とびだす絵本とひみつのコ』はご覧になりましたか。

大森
 はい、面白かったですね。特にナレーションがあるとはいえ、セリフが一切ない中キャラクターの動きだけで物語を伝えていくというスタイルは、今回僕の中でも大きなチャレンジになりました。

――子供に絵本を読み聞かせているようなスタイルですよね。


大森
 そうですね、物語も、誰でも知っている童話のモチーフを使っているのが、初めて触れる人にも伝わりやすくて巧いと思いました。

――大森監督から見て『すみっコぐらし』のキャラクターの魅力はどこにあると思われましたか。

大森 やはりネガティブなところじゃないですか(笑)。隅っこを居場所にしながら自分自身と会話しているようなところが、観ている人に共感を抱かせるんでしょうね。

――こういう少し影のあるキャラが人気を集めているということに関して、何か思うところなどありますか。

大森 誰でも自分の欠点だったり、「あの時、ああしていれば……」みたいな思いは持っていますが、そういうアンビバレントなものを子ども向けの作品にできるとは思っていなかったんです。けれど、『すみっコぐらし』はその辺りをしっかり掘り下げている。様々な欠点にスポットを当てながらも、それは外から見たら案外悪いものでもなかったりして、そういう気分を共有している人たちには刺さるのかな、と思っています。

――今回は魔法使いをテーマにしていますけれど、このアイディアはどこから?

大森 「こんなことをやらせたいね」といういろんなアイディアがあったのですが、前回はすみっコたちが絵本の中に入って冒険をしてまた元の世界に戻るという話でしたので、今回はすみっコたちの普段の生活を見せたい、と僕の方から提案しました。

――彼らの日常を?

大森 はい。そこにいろんなテーマを載せようかと考える中で、吉田(玲子)さんから「魔法使いでいきましょうか」と。吉田さんから最初に貰ったプロットの中に、5人が仮名でわん、つー、すりー、ふぉー、ふぁいぶと書かれていて、僕も含めてスタッフ満場一致で「この名前、可愛いからこのままでいきましょう!」ということになり、そこで(仮)が外れました(笑)。吉田さんとしては後でちゃんと考えたかったのかもしれませんが、これで個性が十分に感じられましたし、翌週にはデザインチーム(原作のサンエックス)からキャラデザインが出来てきて……。
▲すみっコたちの前に現れる魔法使いのわん、つー、すりー、ふぉー、ふぁいぶ。

――トントン拍子に事が運んだわけですね。ストーリーの骨格に関してはいかがですか。

大森 最初にデザインチームからもナイトパーティーやすみっコたちが町の上を飛んだりするような場面を出してほしい、という提案がありまして、それらに並行して提案された共通キーワードが「夢」だったんですよ。ただその時の会議では、夢が叶ってしまったら彼らは「すみっコ」じゃなくなる、それは成立しないんじゃないか、となったんです。でも後でよく考えてみたら、それがすみっコたちを表現するための大事な要素だと表現できるのでは、と気付いて、その方向で提案させて頂きました。

(C)2021 日本すみっコぐらし協会映画部

アニメージュプラス編集部

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