• 劇場版『パトレイバー2』が幻視する 「TOKYOウォーズ」の風景
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2021.10.29

劇場版『パトレイバー2』が幻視する 「TOKYOウォーズ」の風景

(C)1993 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA/Production I.G

大人気メディアミックス作品の劇場版アニメ『機動警察パトレイバー2 the Movie』が、10月31日の19時よりBS12トゥエルビ『日曜アニメ劇場』にて放送される。
前作『the Movie』は、社会派サスペンスとメカアクション、そして第2小隊によるコミカルなシチュエーションを絶妙に織り交ぜた内容だったが、1993年に公開された本作は、監督である押井守が追求する要素を全面に推し出した、シリアスな社会派エンターテインメントとして仕上がった。

2002年冬、かつての特車二課第2小隊メンバーは後藤と山崎を除いて異動、新しい現場でそれぞれの道を歩んでいた。そんな折に、横浜ベイブリッジで爆破事件が発生する。原因が自衛隊の支援戦闘機によるミサイル攻撃であることが報道され様々な憶測が語られる中、南雲しのぶと後藤の前に陸幕調査部別室の荒川と名乗る男が現れる。

荒川はベイブリッジ爆破事件の新たな情報と共に、事件を起こしたグループの首謀者である「柘植行人」の捜査協力を要請する。柘植は、かつて南雲と公私にわたる深いパートナー関係にあった人物であり、99年の東南アジア某国PKOにレイバー小隊々長として派遣されるも小隊は全滅、ただ独り生き残った柘植は以後行方が分からなくなっていた。

続いて航空自衛隊のバッジシステムがハッキングされ、航空自衛隊三沢基地所属機による架空の東京爆撃が演出される事件が発生。事態はこの自衛隊絡みの不祥事に乗じて権力強化を図る警察と、それに抗議する自衛隊の対立状況へと発展。首都・東京が混乱の中で仮想的な「戦争」状況に突入する事態を収拾すべく、後藤と南雲はかつての特車二課第2小隊のメンバーを呼び集める――。
▲ハードなストーリーに合わせてキャラクターもよりリアルな方向へとリデザインされた。

本作は現代の東京で自衛隊による軍事クーデターが引き起こされていく状況が描かれていくのだが、それまでも押井監督は原作を担当したコミック『西武新宿戦線異常なし』(作画:大野安之)や『パトレイバー』初期OVAシリーズ(アーリーデイズ)第5話&第6話『二課の一番長い日』において同テーマを扱ってきた。実際、『二課の~』と本作は設定や人物配置などに類似した部分も多く、ある意味押井監督自身がこだわり続けてきたテーマをハイクオリティでセルフリメイクしたという見方をすることもできる。

(C)1993 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA/Production I.G

アニメージュプラス編集部

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