• ルパンファミリーの本音を語る!栗田貫一&山寺宏一インタビュー【ルパン三世PART6】
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2021.10.24

ルパンファミリーの本音を語る!栗田貫一&山寺宏一インタビュー【ルパン三世PART6】

原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV


——昨今はコロナ禍の影響で、いろいろな作品でアフレコは少人数で行われていることが多いです。『ルパン』の現場では、その影響はいかがでしょうか。

栗田 なかなかご一緒には収録できないですけれど、うまくスケジュールを組んでくれているから、人が入れ替わるときに「あ、終わったの? おつかれ」「じゃあ、頑張ってね」って、顔は見られるので。そういうところで意思疎通はできているかな。

山寺 二人くらいなら一緒にやったりもできますが、全員となると難しいので。でも、いろいろありますけど、仲良くやっています。

栗田 それに別録りだと、みんなの声がちゃんと入ったものを、後であらためて観させていただくことになるから。作品を観るという意味では、それも楽しいよね。

山寺 そうですね。こんな状況の中でもできるっていうのはありがたいし、今、栗田さんが言ったように、出来上がったものを観る楽しみっていうのは確かにありますね。「おお、こうなっていたか」って、お客さんと同じ目線で観られます。

栗田 芝居ってキャッチボールだと思うんだよね。こっちが本気で投げたら「なに〜っ!?」って本気で投げ返されたり、逆にちょっと弱く投げてみたり、カーブを投げてみようかなとか、そんなキャッチボール。でも、このご時世だからどうしても、そうじゃないやり方をする必要がある。出来たものを観て、初めて「こういう感じになるんだ」って。

山寺 ただ、そこも計算して演出してくださっていると思いますから。音響監督の清水(洋史)さんをはじめ、スタッフのみなさんは大変だと思いますけれど。

栗田 特に、今回は次元役が大塚明夫さんに変わって、どういう次元に聞こえるのかなとか、そういうのもあり。ルパンからすると、次元は大事なパートナーなので。

山寺 多分、このシリーズを続けていくと、自分で台本を読みながらなんとなく「こうくるんじゃないか」って他の人の声が聞こえてくるようになるんじゃないですかね。だからシリーズってありがたいですよね。

栗田 そう、相手がこういう芝居をするだろうなとか、ある程度は予測がつくようになる。

山寺 イメージしながらね。そのうえで、いつかまた一緒に収録をやれた時には、もうバシバシでやりたいですよね。

栗田 やりたいねえ。

——今もお名前が出ましたが、今回のシリーズから大塚明夫さんが次元大介を演じることになりましたね。

山寺 (小林)清志さんがずっとここまでおひとりでやってきたわけですし、僕ももう子どもの頃からずっと、次元といえば清志さんのイメージができています。みなさんも今は、清志さんの声以外全く考えられないでしょう。我々が(それぞれの役を)引き継いだときも、プレッシャーとの戦いでした。全く同じにできるわけがないですからね。だけど、明夫さんは明夫さんで次元に聞こえちゃうから不思議だなって思います。

栗田 聞こえちゃうよね。デンゼル・ワシントンとかスティーブン・セガールの声をあてている作品を見ていても、聞こうと思えば次元に聞こえているなっていう部分がどこかにある。だから、きっと似るだろうなと思ったんだけど。意識しなくても似るっていうか、次元らしいセリフ回しができる人なんだよね。でね、僕が少し年上なので「栗さん、(自分のことを)“明夫” って呼んでください」って言われて。呼べないよ、その声じゃって(笑)。

山寺 ドスの効いた声で(笑)。「明夫ちゃん」の「ちゃん」は抜いてくれと。

栗田 そう、先輩なんだから「明夫」って呼んでくれって。いや、言われれば言われるほど呼べないよ(笑)。本当に、次元そのままだよね。

山寺 明夫さんにしても、ニュアンスは清志さんが今まで作ってきたものに寄せようっていうのがあるだろうけれど。清志さんは本当に唯一無二の声だったけど、明夫さんも唯一無二だから。清志さんとまた全然違うけど、でもやっぱり次元なんです。声質は全然違うけども、両方とも他にはないダンディさを持っている。

栗田 本当に、大塚明夫は次元大介になるべくしてなったんじゃないかなって思うよね。これ、初めて山ちゃんの前で言うけどさ……僕が最初に『ルパン』に入ったときは、山田さん以外のスーパーレジェンドの中に入ったわけじゃん。それから、なんだかんだと時が流れて、26年目にして気がついたら今の時代のスーパーレジェンドたちの横に僕がいる。言ってる意味、わかる? 沢城みゆきっていう30代の超一流と、浪川大輔っていう40代の超一流と、このあいだ60になっちゃったけど、ちょっと前までは50代のスーパー声優の山寺宏一と。そして、大塚明夫っていうウルトラ声優がまた入ってきて。気がついたら、僕が最初に立たされたときと同じ状況になっているなって思うんだよね。

山寺 何を言ってるんですか、僕たちよりずっと前から(ルパンを)やっていたレジェンドが栗田さんですよ。

栗田 いや、気が付いたら「僕がルパンでいいんですか」っていう、凄いメンツになっちゃって。だって、26年って言ってもTVスペシャルとか劇場ものとかが多かったから。

山寺 シリーズは3本(TVシリーズの4作目と5作目、スピンオフ『峰不二子という女』)ですね。

栗田 だから正味、31日程度しかやってないわけ。ということは、山ちゃんたちと僕は1カ月くらいしか差がないの。

山寺 日数計算ですか(笑)。10数年差があるのに。

栗田 1カ月くらいの差よ(笑)。でね、横を見たら今の時代のレジェンドに囲まれているわけ。『ルパン三世』ってすごいなってあらためて思いました。というか、あの頃は横にいる人達の「凄さ」を本当には実感できていなかったからね。もちろん、単純に「次元だ! とっつぁんだ!」っていう凄さは感じたけど、ある意味、この人達が本当に声優としてもすごい存在だって感じる暇も余裕もなかったわけよ。でも、今思えば本当にもの凄い人たちと一緒にやっていたって、あらためて感じる。そして、横を見たら今の声優界で大活躍している人たちとリスタートできている。しかも、山ちゃんたちが入った時と、今回、明夫ちゃんが入った時と、2回もリスタートできた。今回の『PART6』は僕の2回目のリスタートで、新しいルパンファミリーのスタートですよ。

山寺 いやいや、錚々たる先輩方の中にひとり入ってやってらいたわけで。そのプレッシャーたるや、大変なものでしょうから。そのプレッシャーを乗り越えて今、ここにいらっしゃる栗田さんこそ、レジェンドですよ。

原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV

アニメージュプラス編集部

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