• 富野由悠季が新たな野心と試みで紡いだ「ガンダムと宇宙世紀の未来」
  • 富野由悠季が新たな野心と試みで紡いだ「ガンダムと宇宙世紀の未来」
2021.08.26

富野由悠季が新たな野心と試みで紡いだ「ガンダムと宇宙世紀の未来」

『機動戦士ガンダムF91』(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS



1993年にスタートした6年ぶりのTVシリーズ『機動戦士Vガンダム』の時代設定は、宇宙世紀0153年。現在のシリーズ内でもっとも未来の宇宙世紀の世界が描かれている。

腐敗が進んだ地球連邦政府は力を失い、その存在は形骸化。スペース・コロニー群である各サイドが自治組織を持つコロニー国家が誕生したことで、サイド同士での紛争を頻発させる「宇宙戦国時代」と呼ばれるようになっていた。

サイド2から生まれたザンスカール帝国は、地球を支配下に入れるべく「ベスパ」と呼ばれる軍隊組織を派遣、抵抗運動を続ける組織「リガ・ミリティア」との戦いを地上でくり広げていた。リガ・ミリティアの象徴として開発されたモビルスーツ〈ヴィクトリーガンダム〉のパイロットとなった少年ウッソ・エヴィンは、苛烈な戦いへと巻き込まれていく。

本作では、これまでのガンダム作品で希求されてきた「スペースノイドの自治独立」が実現している。しかしそれは絶対的な平和の訪れを意味せず、力を得たスペースノイドたちはさらに権力を拡大させるべく戦争を繰り返していく。本作もまた、シリーズが長きに渡って描いてきた「人類が繰り返す過ち」をテーマとした作品だと言えるだろう。

モビルスーツ描写に関しても『ガンダムF91』で示された小型高性能化に加えて、ビームローター、ミノフスキー・フライト、ミノフスキー・ドライブという技術の導入でモビルスーツの地上での単独飛行が一般化、意欲的な戦闘描写の作劇がなされている。
▲トップ・リム(上半身)、ボトム・リム(下半身)の組み合わせで武装強化できるヴィクトリーガンダム。

『逆襲のシャア』によってアムロとシャアのドラマにピリオドを打ったものの、宇宙世紀のドラマにはまだ可能性が残されている、と富野監督は考えたのだろう。『ガンダムF91』と『ガンダム』の2作品が示した新たな未来像は、その後の『機動戦士ガンダムUC』、そして最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』へと繋がっていくことになる。

>>>『逆襲のシャア』~『Vガンダム』、『閃光のハサウェイ』場面カット&パッケージソフトを見る(写真13点)

C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS

アニメージュプラス編集部

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