• バトルから見える漫画家と編集者のリアル!「少年ジャンプ+」の注目企画「MILLION TAG」
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2021.08.05

バトルから見える漫画家と編集者のリアル!「少年ジャンプ+」の注目企画「MILLION TAG」

「MILLION TAG」番組キービジュアル


【バトル形式が生む緊張感】

——今回の企画の特徴のひとつは、「優勝作品のアニメ化」が副賞として設定されていることだと思います。

細野 作家さんにとってのハードルが高い企画ではあるので、それに報いるにはしっかりとした大きな賞品じゃないといけないと思いました。賞金はもちろん、「連載確約」を賞にするというのも、これまであったので。さらに超えるものというとメディア化、アニメ化がわかりやすいかなという考え方ですね。

——アニメ化となるとやはり、漫画家さんにも力が入るものでしょうか。

 そこは人にもよりますが。ただ、アニメ化となると日本を飛び出るというか、全世界の人に作品が届くことが多いので、それをひとつの目標に設定にしてらっしゃる方もいらっしゃいますね。そういう意味でも、賞品としては正しいかもしれないですね。「漫画賞でアニメ化確定」というのもあまり見たことがないからいいんじゃないかと企画段階で話していた記憶がありますが……でも今から思うと、ちょっと無茶があるというか(笑)。どんな作品がくるのかわからないですし。

細野 そうそう(笑)。

 優勝作品がアニメ化に向いていない可能性もあります。でも、それも込みで面白いと思います。「こんなのアニメ化できるの?」という作品が優勝しても、それはそれでいいのかなって。

——普段、編集部に持ち込まれる作家さんたちと比較して、今回の企画で集まった漫画家さんたちの雰囲気や特徴などの違いはありましたか。

細野 「普段と比べて」ということではないですが、やはりレベルは高かったかもしれないです。毎月募集している漫画賞と違い、今回の企画はお金をかけて宣伝もして、情報の露出が多かったです。また、賞金が高くてアニメにもなるということで、普段の漫画賞よりも(企画自体に)少し山っ気があるというか(笑)。その分、「連載をとるぞ!」「アニメにするぞ!」という心意気を持っている応募者が多めな印象でした。

 確かに、もうデビュー済みだったり、他で受賞経験があったりする応募者が、結構いらっしゃいましたね。ただ、幸いなことに「ジャンプ+」は最近、普段から持ち込んでくださる作家さんのレベルが高くなっていると感じるし、何か賞をやるたびにキラリと光る方がきてくれています。

細野 賞を新設するたびに、全然違う応募者がきたりするので、今回だけの特徴っていうのは、あまりない気がしますね。

——林さんはタッグを組んでバトルに参加なさっていますが、細野さんから見て、カメラに映る林さんはいつも通りのお仕事ぶりですか?

細野 そうですね、よそいきではないなとは思います。ちゃんといつものままだなって。

——林さんも、そこは意識せずにいつもどおりで。

 意識すると嘘が生じるし、視聴者も嘘は嫌がると思うので。だから、漫画家さんと打ち合わせをしてできるだけいいものを作るという部分では、普段とやっていることはほとんど変わらないです。ただ、カメラが入っていることと、バトル形式のオーデョションということで、締切の精度が高いんです(笑)。普通だと、限られたスケジュールの中ではあるけれど「少しゆっくりしようか」と間がとれたりもするのですが、今回はその間がとれない。編集者側のスタンスとして、僕はそれがすごくいいなと思っています。やはり「描かざるを得ない」という状況に立つことで、(漫画家が)成長するんです。仮にカメラに映らないとしても「描かないといけない」と熱中できる時間って、宝物だなと僕は思っているので。たとえば週刊連載をすると、どんなにスケジュール管理が苦手な人でも死にものぐるいで間に合わせることで、時間の密度が濃くなって成長するんです。それを多分、今回の参加者さんは経験している。すごくいいチャンスだなと、僕は思っています。

細野 僕も、林と同じことを考えています。締切があり、しかもその後に3位までですが、順位がつくので、ある種のプレッシャーもありますし、頑張ろうというモチベーションもあがる。だから、作家さんも成長しているなと思います。また編集者の側としても、タッグを組んでから3ヵ月間、集中して同じ作家さんを見続けるというのは、普段はなかなかできない経験なので。この仕組も番組とは別に、応用できそうだなと思いました。


アニメージュプラス編集部

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