• 『シドニアの騎士 あいつむぐほし』監督が「ベスト以上」を目指した完結編
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2021.06.05

『シドニアの騎士 あいつむぐほし』監督が「ベスト以上」を目指した完結編

『シドニアの騎士 あいつむぐほし』(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工重力祭運営局


――「掌位」に象徴される “手を取り合って生きていく” というテーマが本作でも強く描かれていたように感じました。監督は「掌位」を通した表現に関して、どのようなイメージを持たれていますか?

吉平 「掌位」はとてもユニークな設定で、TVシリーズでも象徴的に描かれていました。掌位は機械同士の連結と捉えると純粋な運動性能の向上以外の効果はあり得ないのですが、人間同士が掌位を行うことで想いを伝えていく場面になったり、あるいは友情の証や出撃前のおまじないとして儀式的な掌位も行っていますよね。

自分も含めて日本人はなかなか肉体的な接触をしないことが多いと思いますし、今のような時代を迎えてさらに勇気が必要な行為になったと思いますが、その垣根を越え手を繋ぎ人と絆を作っていく、その絆の象徴として「掌位」が存在しています。誰かのために、あるいは一緒に何かをするという目的のために、人と想いを重ねて、その願いを強くしていく――本作の中でもそこは大事にしていますし、大きくフィーチャーしている部分だと思います。

――そういう意味では本作はこれまでのイメージに囚われず、例えばアニメファンではない一般の女性層にも観てもらいたいという気持ちはありますか?

吉平 その気持ちは非常に大きいですね。本作の女性キャラもまた、願いを叶えるために何かの犠牲を払いながらも、勇気を振り絞って行動していきます。宇宙を戦場にした特殊な状況下で生まれ育った人々が何を思い、どんな形で願いや気持ちを重ねていくのか……遠未来の世界観の中で描かれる普遍性を持った人間ドラマとして作っていますので、肩の力を入れずに観ていただければと思いますね。

――ポリゴン・ピクチュアズの30周年記念作品としてスタートした『シドニアの騎士』が長い時間をかけて遂に完結を迎えます。最後に改めて、その感想をお聞かせください。

吉平 『シドニアの騎士』は、ポリゴン・ピクチュアズにとって日本で初めてのセルルックCGアニメーションであり、その制作へ挑戦することでも大きな転換点にもなった作品です。また、何より僕にとっても演出・監督業に入っていくきっかけとなった特別な作品でもあります。

それを自分が完結させる、という責任に関して、大きなプレッシャーもありました。でもTVシリーズ第1期の第1話から関わってきた自分だからこそ、最後まで責任を持って最高の『シドニアの騎士』に仕上げていきたい……そんな強い想いと情熱を持って、この完結編に取り組んできました。

「もう二度と作れないのだから、今できるベスト以上のものにしなくてはダメだ!」と、スタッフを励ましつつ、その発言によって自分自身も追い込まれて、たくさん苦しい思いもしてきましたが(苦笑)、今はなんとか無事に完結させることができて、とても感慨深い気持ちです。

感動のクライマックスはぜひ劇場のスクリーンで目撃してほしい。

>>>本編の場面カットを見る(写真7点)

(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工重力祭運営局

アニメージュプラス編集部

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