PSを倒すほどの力を持つキリコは、「大いなる意思」に選ばれた存在だった。キリコをずっと観察し続けてきた人物であるロッチナは、それを確信してキリコをかつて超古代文明が存在したという惑星クエントに向かわせる。
そこにはかつて、優秀な能力を持つ進化した人類=「異能者」が存在していた。彼らは全銀河を統治しようとしたが、成し遂げられず自らの意思と記憶を原形記憶装置に残し、大いなる意思=「ワイズマン」となって文明を裏から操っていた。そして、キリコはワイズマンに選ばれた「異能者」の後継者だったのだ。
テレビシリーズの末尾を飾る第4部「クエント編」では、「異能者」としての力に目覚めたキリコが「人間」と「神」のどちらの立場を選ぶのかがドラマの大きな柱となっていく。
一見『ボトムズ』はミリタリー的な要素を多く持つ「戦争アクション」というイメージがある。しかし、このようにキリコの巡る道程にスポットを当てると、心を失った神に最も近い男が純愛に目覚め、人間として生きる戦いを描いた物語であることがわかる。この壮大な男の旅路こそが『ボトムズ』という作品の大きな軸となっているのだ。
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