P フフフ、カリスマ性とかを大事にするなら、ボブ・ディランじゃないけれど、いろいろ語らない方が良いんだよね。でもさ、好きなものは好きなんだもの、しょうがないよね。変にカッコつけたくないし。
A そういったPANTAさんの姿勢は映画でもよく分かります。でも、常に頭脳警察の固いイメージを求めるファンがいたことも確かなんですよね。ソロになってニューウェーブや歌謡曲的なアプローチをした途端に「PANTAを殺して俺も死ぬ!」みたいな手紙が届いた、というエピソードには、ちょっと笑っちゃいましたけれど。
P もし自分がゴリゴリの左翼だったら、おそらく(アメリカ軍に勤務していた)親父とも決裂していると思うんですね。確かにそういう生き方もあるんだろうけど、自分はフレキシビリティを大事にしたいと思うわけです。だってかつての政治闘争でイデオロギーに固執する人たちは、最終的にセクト化して潰れていったじゃないですか。まず自分のやりたいことをやる、そうすればイデオロギーは後から付いてくるんですよ。
A さっき若い世代の話をしましたけれど、その世代の女性はPANTAさん同様に自分が「好き」と思ったものに揺るぎがないですよね。直感で好きになったら、そのまま真っ直ぐ愛を注ぐんですけれど、男性はまず「俺がこれを好きなのはこういう理由がある」みたいな理論武装から始めるんですよね。だから女の子のそういう所、男として「カッコいいな」「見習わなきゃな」って思います。
P 今はそういう女性の感性がブームを引っ張っているところもあるよね。『刀剣乱舞』なんてまさにそうで、イデオロギーよりまずはルックス、みたいなね。俺もこれからそういうところをちゃんとやらないとな(苦笑)。
――しかし、改めてPANTAさんのバイタリティには驚かされます。今のアニメのトレンドもしっかり押さえてますし、そもそもバンド結成50周年の映画のタイトルに「未来への鼓動」って普通付けないと思うんですよ。▲映画『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』より頭脳警察50周年バンド。左より澤竜次・樋口素之助・PANTA・宮田岳・TOSHI・おおくぼけい (C)2020 ZK PROJECTA 僕もそう思います。
P いやいや、ずっとこんな感じでやってきたから。しかし、せっかくこういう機会を戴いたから、今度A-10さんと何かお仕事でご一緒したいよね。
A 本当ですか、嬉しいです!……これ、個人的な希望なんですけれど、もし『赫のグリモア』がアニメ化した時は主題歌をお願いしてもいいですか?
P 何言ってるの、その時は声優で出してよ!(一同笑)