『アーヤと魔女』背景・武内裕季さんのインタビュー後編は、美術デザインに込められたキャラクター像、そして宮崎吾朗監督の仕事の姿勢に迫る内容に。「もう一度機会があるならこの現場に戻りたい」という現場の熱気は、いかなるものか。
――美術デザインの中には、やはりそれぞれのキャラクターのイメージが反映されていたりするのでしょうか。
武内 ベラ・ヤーガの作業部屋やマンドレークの部屋は、その部屋の持ち主の内面を自分なりに考えながらデザインに取り入れました。ベラ・ヤーガは一見強い女性に見えるんですが、部屋の乱雑ぶりに様々な過去を引きずっている弱い部分もあるんじゃないかなと思えたし、そこに共感もしながら描いていました。
あと、マンドレークのことは絵コンテを読んでもあまり深くは理解できず……部屋を描きながら、ずっと「この人、こんな部屋で大丈夫なのかな?」って(笑)。でも自分のことが好きすぎて、さらに自分の殻に籠って過去にすがって生きている印象です。
――乱雑さと閉塞感を感じる部屋に、前に進めていない二人の立場が表現されている?
武内 そうなんです。そこにアーヤが入ってきて、どんどん新しい風が吹き込まれる、ということだと思うんです。
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