――今回の3DCG表現の肝は、髪の毛の処理じゃないでしょうか。
近藤 髪の毛は今、3Dルックだとどこまでも細かくできますからね。でも、吾朗さんも僕もやっぱりリアルな髪の毛はなしだろう、とお互い思っていた。要は、どの辺りの塩梅でやるかっていうことで結構悩みましたが、僕の作業的にも細かい髪の毛よりは大きな立体としての感じを出す方向性で描かないとまとまっていかないし、やっぱり粘土ルックでやるのがいいんじゃないかって。形もよくわかるしね。吾朗さんはデザインを見て「粘土髪で正解だ」って言っていましたね。
――アーヤの髪型だと確かに粘土ルックのほうが似合いますね。近藤 そうそう。やっぱりどこか「お人形さんの面白み」というか、作り物が動くっていう感覚があったほうが面白いと思うんです。
――吾朗監督との仕事の面白さはどんなところに感じていますか。近藤 吾朗さんは、作品をまとめるために何をしなくちゃいけないかを、的確に絵コンテの中に落とし込めることができる人。話を聞いても明快だし、迷いがないから(仕事が)やりやすいですね。
――吾朗監督の中でイメージがハッキリしているから、作業のキャッチボールもやりやすかった?近藤 それはありますね。何が作品において良いことか、悪いことなのかという感覚が多分すごく僕と似ていると思うんです。だからすごくやりやすい。吾朗さんが1つ何かを言えば、その背後にはこういう意図があるんだなっていうのがわかる感じなんです。なので僕は吾朗さんを完全に信頼して仕事をしています。
(C)2020 NHK, NEP, Studio Ghibli
※このインタビュー完全版は、「ROMAN ALBUMアーヤと魔女」に掲載されます。