• ASCA『Howling』インタビュー「今を一生懸命生きてるみんなと声を上げたい」
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2020.10.17

ASCA『Howling』インタビュー「今を一生懸命生きてるみんなと声を上げたい」

ASCA『Howling』インタビュー「今を一生懸命生きてるみんなと声を上げたい」

2020年10月4日に、ASCAさんのシングル『Howling』の表題曲「Howling」が先行配信された。本楽曲は、10月3日よりTOKYO MXほかにて放送スタートしたTVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』(以下、魔法科高校の劣等生)のオープニングテーマとしても話題を集めており、『Howling』が11月4日に発売されることも決定している。

ASCAさんは、1996年9月5日生まれ。中学生時代に第5回「全日本アニソングランプリ」に出場し、応募者1万人以上の中からファイナリスト3名まで勝ち抜き注目を集め、2017年11月にTVアニメ『Fate/Apocrypha』2ndクール エンディングテーマとなった「KOE」でメジャーデビューを果たした。2019年には、TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』第2期オープニングテーマとなった「RESISTER」や「RUST/雲雀/光芒」をリリースしてスマッシュヒットを記録。それらヒット曲を収録した1stアルバム「百歌繚乱」は、現在もロングヒット中だ。

繊細で伸びのある高音、表現力豊かな実力派アーティストとして活躍の場をさらに広げているASCAさんに、『Howling』について語っていただいた。

◆01:『Howling』
達也やリーナのことを思って書いたので、その登場人物と一緒に歌が重なり合っているところを見た時は感激しました。

――『魔法科高校の劣等生』のオープニングテーマに決定された、率直なご感想をお聞かせください。

ASCA 私の所属しているSACRA MUSICの先輩であるLiSAさん(第1期第1クールOPテーマ)やGARNiDELiAさん(第1期第2クールOPテーマ)が担当されていたということで、もちろん作品は存じ上げていましたが、まさかという感じでした。7枚目のシングルを『魔法科高校の劣等生』のオープニングとして出させていただけるということで、光栄な気持ちでいっぱいでしたね。

――事前にお知らせはなく、急に「OPテーマに決まったよ!」という感じだったんですか?

ASCA そうなんです。

――それは驚きますよね。

ASCA はい。すっごく嬉しいサプライズでしたね。先輩方が担当されていた楽曲も聴いていました。曲からアニメの存在を知って。音楽も格好いいし、それとリンクしているオープニング映像を「格好いいなぁ」と感じていたので、本当にまさかという感じでした。

――公開されている『魔法科高校の劣等生 来訪者編』第2弾PVも、映像と曲がマッチしていて疾走感が伝わってきます。

ASCA そうですよね。登場人物の達也やリーナ(アンジェリーナ=クドウ=シールズの愛称)のことを思って書いたので、その登場人物と一緒に歌が重なり合っているところを見た時は感激しました。

――『魔法科高校の劣等生』に登場する人物達は、それぞれが自分の立場や境遇と向き合い戦っていくかと思います。「吠える」という意味のある『Howling』というタイトルは、そんな彼らの生き方と重なる部分があるように感じるのですが、曲のメッセージやタイトルは、どのような流れで決められたのでしょうか。

ASCA タイトルの『Howling=吠える』から、「叫ぶ」っていう言葉がキーワードになっていきました。この曲は、みんなで声を上げるような楽曲になっているんですけど、達也やリーナって、自分で決めた道ではないところで一生懸命頑張っている人達で。でも、ただの人形ってわけではなくて、その中でも自分の意思を持って懸命に前に進んでいってる。それが、今の世の中の状況にもすごく当てはまるなと思いました。当たり前だったものがどんどんなくなっていって……そういう不自由な暮らしをしてる人がいっぱいいるじゃないですか? なので、今を一生懸命生きてるみんなと声を上げたくて。楽曲やタイトルにも“一緒に吠える/叫ぶ”というメッセージを入れる方向に辿り着きました。

――先ほど「達也やリーナのことを思って書いた」とおっしゃっていましたが、作詞をされる際にモチーフにしたキャラクターは事前に決まっていたのでしょうか。

ASCA キャラクターで言うと、リーナの視点を入れてほしいというオーダーをいただいていたんです。そこから原作を読ませていただいたんですけど、リーナが一番共感できるキャラクターでした。普段はすごく可愛らしい女の子なのに、戦う時は本当に強くて。そういうギャップのあるキャラクターが、私はもう一貫してずっと好きなので(照れ笑い)、オーダーをいただいてはいましたが……葛藤しながらも前に進んでいく彼女の姿が、時代的にも当てはまるとも感じました。自分も、今まで歌う人として歩んできた中で、ずっと前向きに頑張ってこれたわけじゃなくて……自分と戦って、向き合いながら進んできたので共感できたんです。なので、その部分にフォーカスして書いていきたいなと思い、作詞を進めていきました。

――レコーディングで意識されたことや、打ち出していこうと思ったものはありますか。

ASCA 『Howling』をレコーディングしたのは、人生で初めてのツアーが終わって、自粛期間に入る直前だったんですよね。ギリギリで録れた最後の曲で。この楽曲は、いつ届くかわからないし、もうみんなの前で歌えないかもしれないというか「もうファンのみんなに会えないかもしれないな」みたいな気持ちがあって。本当にギリギリのレコーディングだったので、全部の思いやテンションをこの曲に込めなきゃみたいな気持ちは、すごくあったんだと思います。あとあとになって音源を聴いて、気迫みたいなものが入ってるなぁと自分でも思いました。

――ご自身でも気づかないうちに、楽曲全体が気迫で満ちていたんですね。

ASCA そうですそうです。この歌詞は、自分自身に向けて歌っているわけじゃなくて。《独りじゃないだろ》っていうワードが全部のサビに入ってくるんですけど……これまで、“もっと完璧に歌いたい、もっとちゃんといい歌を届けたい”という自分自身との戦いがあったんですよね。でも、ツアーなどの経験を経て、自分に向いていた気持ちが、もっとみんなに向かって広がっていったんです。この広がりは、「ファンの皆さんは本当に私のことを愛してくださっているんだ」という実感から起こったというか……まさに《独りじゃない》という感覚で。それは本当に、ただ歌っているだけじゃ気づけなかった。ライブを経て自粛期間に入って自分自身と向き合った時に、そういう記憶や実感が、今の私を生かしてくれてるなってすごく感じました。

――《独りじゃないだろ》というフレーズの「ひとり」の部分に「孤独」の「独」を使われているところやASCAさんの歌声から、強いメッセージ性を感じていました。鼓舞するような楽曲ではありますが、同時に寄り添う雰囲気もあるのかなと。

ASCA そうですね。そうした気持ちもすごくあったと思います。《独りじゃない》と気づかせてくれたのは、自分じゃなくてファンのみんなで。《信じ続けろ》っていうワードもあるんですけど、私はずっと自分に自信がなくて。全然自分のことを信じられなかったけど……やっぱり、この仕事はひとりっきりではできない職業で。特にライブはもう、絶対にファンのみんながいないと完成しないから、自分を信じさせてくれたファンのみんなはすごいです、本当に。だから、みんなも自分のことを信じてほしい。そんな気持ちで歌っていました。

――ASCAさんはツアーや自粛期間という時間を通して、「独りじゃない」という言葉をご自分の実感として落とし込まれていったんですね。

ASCA はい。毎日送られてくるSNSのメッセージもすごく支えになってました。

――SNSでのメッセージのほかに、お手紙形式のファンレターをもらうこともありますか?

ASCA いただきますね! ライブやイベントを開催した時にもいただきます。しんどい時にすぐ見返せるように、専用のボックスを家に作ってるくらい嬉しいです(笑顔)。すごく支えてもらってますね。

――何よりもパワーが出る、大事な存在ですね。

ASCA そうですね。自信をなくした時に、いつもは自分の中に入ってこなかった言葉が入ってきて涙が出てしまうというか……。「あ、私、こんなにずっと愛をもらってたんだ」というか。それも、今回の自粛期間があったから、前よりも強く感じられるようになったことかなと思いますね。


出雲ゆき弥

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