• 森口博子とガンダムソングーーその深い絆
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2020.10.15

森口博子とガンダムソングーーその深い絆

(C)創通・サンライズ

1985年のデビューから今年で35年を迎えた森口博子が、ガンダムソングの数々を深い思い入れを込めて歌い上げたカバー&セルフカバーアルバム『GUNDAM SONG COVERS 2』。
9月16日に発売された本作はガンダムファンや音楽ファンも含めた幅広いリスナーに支持され、発売から1カ月近くを経てもなお、注目度は日に日に高まる一方だ。
昨年発表の前作『GUNDAM SONG COVERS』は、オリコンウィークリーチャートで3位、オリコンマンスリーチャートで5位、10万枚を超えるセールスを記録し、「日本レコード大賞」企画賞も受賞した。
その大好評を受けての今作『GUNDAM SONG COVERS 2』は、10万票を超えるインターネットでファン投票で選ばれたガンダムソング・ベスト10を収録したファン待望の続編。豪華ミュージシャンが参加した極上のサウンドと森口博子の艶やかな歌声がリスナーを魅了し、オリコンウィークリー2位、ビルボードウィークリーチャート2位と、高い評価を獲得している。
自身とガンダムとの運命的な関係、楽曲への深い理解と思い入れ、新型コロナ影響下の困難な時代に生きる人々への想い……この傑作アルバムに込められたすべてを、森口博子が語ってくれた。

ガンダムとの運命的な絆

——この取材は発売日(9/16)の前日にお時間をいただきました。まず、せっかくですから発売日が明日に迫った今のお気持ちをお聞かせいただけますか。

森口 わくわく、血が騒いでいます! ファンのみんなからの10万票を超えるリクエストにお応えした作品が届けられるんだって!! 発売日に向けてレコード会社のみなさん、事務所のみなさん、いろいろな関係者のみなさんがすごく盛り上げてくださってくださいますし。何か情報を発信するたびにファンのみんなから、「(先行で配信された曲を)聴いてすごく震えた」とか、「フラゲ楽しみにしています」とか、ガンダムを観ていない方も「前回のアルバムですごく感動したので今回も期待しています」とか、すでに熱い反響が届いていますが、発売までの助走期間が本当に生きているという感覚があってすごく楽しみです。

——SNSを見ると、発売日前日の今の時点で早速フラゲしている人たちもいて、熱い反応があります。

森口 ですよね。私ももうエゴサしました(笑)。CDショップの方々も大プッシュしてくださって、「森口博子コーナー」という感じで大きくフィーチャリングしてくださっていて。そのCDショップの写真もスクショさせていただきました。

——ご自身も、嬉しくて楽しくて仕方がない、というご様子ですね。

森口 そうなんです。デビュー当時では考えられない展開です。去年の第1弾のときもそうだったのですが、たくさんの方々がリリース前から楽しみにしていてくださって、ものすごい熱気を感じますね。はじめて「水の星へ愛をこめて」を歌ったときは「とにかく一生懸命この曲を歌います」というひたむきな気持ちでした。それから35年経って、こんなにたくさんの人にいまだに愛されるなんて、誰が想像できたでしょう。
ましてや当時、アニソンはまだ地味な存在として扱われていました。レコードショップに行っても、同期のアイドルの女の子たちは自分専用の大きなラックがあるのに、私のレコードは隅のほうにポツンと追いやられていたり、なので勝手に憧れの松田聖子さんのラックの前に置いたり。はたまた(自分のレコードが)置いていなかったり……そういう時代でした。だから現在のように、世界に発信できる日本の文化としてファンのみんなが育ててくれたことが、心が震えるほど嬉しいです。

——森口さんご自身がガンダムという作品に出会ったのは、今もお話に出た『機動戦士Zガンダム』主題歌「水の星へ愛をこめて」を歌うことになったときですか。

森口 そうです。いろいろなアイドルオーディションを受けまくる中で、最後に手を差し伸べてくれたのがガンダム、アニメの世界でした。歌手になるという4歳のころからの夢を叶えてくれた運命の作品です。そしてガンダムは、どんどん私の夢を叶えてくれているんですよ。
まずは、今言ったようにデビュー曲。その次は「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」(『機動戦士ガンダムF91』テーマ曲)です。堀越学園の卒業間近に「リストラ宣告」を受けて、九州に帰されそうになったのですが、とにかく歌が歌いたかったので「どんな仕事でも頑張ります」とお願いして。気付いたらバラエティー番組をたくさんやらせていただき、週に(レギュラーが)12本という時期もありました。
忙しい中で体調を崩したり、もどかしさを感じることもありましたが、「その先に歌がある」という思いで頑張った結果、出会えたのが「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」。ガンダムを知らない方々も「名曲だ」といって聴いてくださって、オリコンウィークリー9位にランクインしたり、紅白歌合戦に出場させていただいたり。たくさんのファンのみんなとめぐり逢わせてくれました。これもガンダムのおかげです。
30代でゲーム『SDガンダム ジージェネレーションスピリッツ』のOPテーマ「もうひとつの未来〜starry spirits〜」を歌わせていただいたときは、もう「CDが売れない時代」と言われた2000年代に突入していて。音楽業界全体が厳しい時期でしたが、久しぶりにオリコン16位にランクインしたんです。30代って中途半端な時期で、自分のポジションがわからなくて悩んだこともありましたが、そうしてまたガンダムの曲で久しぶりにランクインできたことで、まだ自分の歌が必要とされていると実感できました。
振り返ると私は、世代も国境も超えてたくさんの人とつながることができるアニソンを10代から20代、そして30代でも歌わせていただけた。だから「私は40代でもガンダムの歌を歌うぞ」って、オファーもきていないのに勝手に自分の心の中で誓ったんです(笑)。そうしたら『機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅳ 運命の前夜』の主題歌「宇宙の彼方で」と『CRフィーバー機動戦士Ζガンダム』の搭載曲「鳥籠の少年」で、40代の夢も叶った。こうなったら50代でも歌うぞと思ったら、ふたたび『フィーバー機動戦士 逆襲のシャア』の搭載曲「追憶シンフォニア / 果てないあの宇宙へ」でオファーをいただけました。ガンダムの楽曲でたくさんの人とつながりたいと思ったーーその願いが、本当に叶っていっているんです。
きっと神様が「そんなに歌が好きだったら、こういう素晴らしい世界をあなたに」と与えてくれたとしか、私には思えないです。長く歌っていけるように、いつまでもたくさんの人に愛されるアニソンに出会わせてくれた神様にそして、ずっと受け止め続けてくれる、揺るぎないファンのみなさんがいてくださったということに感謝です。大きな存在です。


アニメージュプラス編集部

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