――劇場版では、実央の幼少時代も描かれます。
松岡 幼少期の実央は、子役の子が演じているんです。これはすごいなと、鳥肌が立ちました。どうやったらこんなに自然にお芝居ができるんだろうと。「あ、実央がいる!」と思えるくらいでした。一つ言うなら、重要なエピソードだったのでもっと早く見たかったなぁと(笑)。
村田 そうですね(笑)。
――駿と実央の関係性について、どのような印象をおもちですか?
村田 正反対の二人ですよね。付き合ってはいても、駿はまだ芯の部分を打ち明けられていなかったり、話していないけれど、分かってほしいと思っていたり。それでいて実央からグイグイ来られると逃げたいとか、このタイミングで話したくなかったとか(苦笑)。
――ちょっと勝手ですよね(笑)。
村田 知って欲しいけれどまだ知られたくない、でも完全に離れるのは違うという、男の都合のよさが前面に出ています(苦笑)。でも、分かり合えたうえで「純粋に付き合っていきたい」という思いはあるはず。ただ、今は距離を取っておきたいというだけで……。こんなうだつの上がらない人間を、紀伊先生は本当によく魅力的に描けるなと(笑)。きっとすごく男心を熟知されているからなんでしょうね。僕はただ共感しながら、そして実央には悪いと思いながら、演じさせていただきました。
松岡 実央の「絶対に駿が好きだ」という気持ちが、全くブレないところが素晴らしい。人間の願望として、「愛し愛されたい」というのは誰しもあると思いますが、本当に駿がすごく羨ましいです。なんせ、こんなに思ってくれる子がいるんですよ?
村田 3年も思ってくれているしね。それなのに駿は、はっきり伝えもせず(苦笑)。
松岡 ずっとウジウジしていますし(笑)。それでもしっかりと思いを伝え続けている実央はすごいです。
村田 実央がリアルにいたら、頭が上がらないですね。
――公開を楽しみにしているファンへ向けて、メッセージをお願いします。
村田 お互いがお互いを大事に思いながらも、なかなかくっつかなかったりと、ちょっとした心の機微を感じ取れる映画です。ぜひご自身の何かと照らし合わせながら観て楽しんでいただけたら幸いです。そして(原作の続編)『春風のエトランゼ』に続くような展開になったら、みんながハッピーになれるんじゃないかなと思います。ご来場よろしくお願いします!
松岡 これは本当に「映画館で観てよかった!」と思っていただける作品になっているはずですので、純粋で綺麗な二人の関係性を堪能していただきたいです。観終わった後に「うわー! よかったー!」という感じではなく、しんみりと「よかった……」と思っていただける出来上がりになっていますので、ぜひ映画館で観ていただけたらと思います。
▲左から村田さん、松岡さん
<プロフィール>
むらた たいし
5月
13日生まれ。高知県出身。アクロス エンタテインメント所属。主な出演作は、『ガンダムビルドダイバーズ』(マギー)、「ベイビーステップ」(丸尾栄一郎)、「メイドインアビス」
(ジルオ役
)ほか。
まつおか よしつぐ
9月17日生まれ。北海道出身。アイムエンタープライズ所属。主な出演作は、『鬼滅の刃』(嘴平伊之助)、『魔王城でおやすみ』(魔王タソガレ)、『あひるの空』(不破 豹)ほか。
(C)紀伊カンナ/祥伝社・海辺のエトランゼ製作委員会