• 楠木ともり◆強く生きる者への賛歌EP『ハミダシモノ』に込めた思い
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2020.08.20

楠木ともり◆強く生きる者への賛歌EP『ハミダシモノ』に込めた思い

楠木ともり◆強く生きる者への賛歌EP『ハミダシモノ』に込めた思い

2020年8月19日、声優・楠木ともりさんのメジャーデビューEP『ハミダシモノ』がリリースされる。本作には、TVアニメ『魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』のエンディングテーマ「ハミダシモノ」のほか、ご自身が作詞・作曲を手がけたカップリング曲も3曲収録されている。さらに、CD盤面のイラストデザインも楠木さんが担当されたという。

楠木さんは、1999年生まれ。2016年に開催されたソニー・ミュージックアーティスツ主催の声優オーディション「第5回アニストテレス」で特別賞を受賞し、2017年に声優デビューすると、2018年にはTVアニメ『メルヘン・メドヘン』にて初主演を果たし、TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』や『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』など、次々と人気作のメインヒロインに抜擢。若干19歳にして第十三回声優アワードにて新人女優賞を受賞し、今最も勢いのある若手声優の一人としてアニメシーンの最前線に立ち続けている。

そんな楠木さんが抱く、EP『ハミダシモノ』に込めた思いを伺った。

◆01:「ハミダシモノ」
思いついた瞬間に「これだ」と思って書かせていただきました

――EPのタイトルでもある“ハミダシモノ”という言葉は、『魔王学院の不適合者』の象徴的なワードである“不適合者”とリンクしているようにも感じます。この言葉に込めた思いをお聞かせください。

楠木 “ハミダシモノ”っていう単語は、偶然思いついたものなんです。この曲は、デモの段階では別の歌詞がついていて、その歌詞の最初の文字が「は」だったんですよ。デモを録った時に、「は」から始まる単語だとすごくニュアンスがつけやすかったので、何か「は」から始まる、欲を言えばタイトルになるようなキャッチーな単語はないかなと探した時に“ハミダシモノ”って単語が浮かびました。
作中では、どの登場人物も強過ぎるというか……浮いていたり、周りからは冷ややかな目で見られていることもあるなかで、そこに負けずに強く生きていて……。そんな登場人物達に惹かれました。“ハミダシモノ”っていう単語は、力強さもありながら、作品やキャラクターにリンクしている単語だなと思って、思いついた瞬間に「これだ」と思って書かせていただきました。

――普段は「詞先」で曲を制作されているということですが、今回は曲を受け取ってから作詞をされていらっしゃいますね。苦労した点などはありましたか?

楠木 メロディラインが先にできていると文字数が決まってきてしまうので、囚われずに伸びやかに書きたくて、いつも歌詞から書いているんです。今回は事前に、デモとしてとても素敵なメロをいただいていましたが、歌詞の文字数に制限があったところが難しかったです。
あと、今までは、自分が思っていることや自分が持つ世界を描いていたんですが、今回は『魔王学院の不適合者』の世界と絡めていくということもあって……。他のものの世界と自分の世界を合わせて、どこに落とし込んでいくかっていうことも、すごく難しかったですね。

――楽曲を聴いた時の印象はいかがでしたか。

楠木 「ハミダシモノ」は、デモをいただいて歌ってみた時からお気に入りでした。力強さや疾走感があるのはもちろん、ただ力強いだけじゃなくて、ピアノのドラマティックな部分があり、すごく作品の映像が浮かびやすくて。メリハリもあって、私としても歌いたくなる印象の曲だと思いました。自分が今までやってきた音楽とも近かったので、「これがいいです」とお話をさせていただきました。

――レコーディングの際に、意識されたことはありますか?

楠木 『魔王学院の不適合者』の主人公のアノス・ヴォルディゴードが、強いだけじゃなくて気持ち的にもとても温かくて……。彼の、誰かを率いることや救うことのできる、ただ強いだけじゃない部分が本当に素敵だなと思っていて。ですので、歌にも、ただ力強いだけじゃない、包み込むような温かさや、他のキャラクターにも寄り添った儚い部分といった色んな表情を入れたいと思いました。
今回は、メロディがすでにあったので、歌詞を書いている段階で「この辺りでこういう歌い方をしよう」っていうのが思いついていたんです。なので、レコーディングの時もあまり悩まず、こうやりたいなっていうのがどんどん出てきて、それを落とし込んでいけました。
何度も同じようなニュアンスのテイクを録っていいものを出すというよりは、思いつくままに色んなニュアンスに挑戦して、その中からより曲の世界観に合うものを選んでいただくという形でレコーディングをしました。

◆02:『眺めの空』
これは初めてだったっていうのもあって、自分をさらけ出し過ぎるのが恥ずかしかったっていうか……

――こちらの曲には、「僕」や「おまえ」といった印象的な人物が登場しますが、モデルになった物語や出来事があったりするのでしょうか。

楠木 それが、実は……まったくなくて。これは、私が初めて作詞作曲にちゃんと挑戦した曲だったんです。今は自分が思っていることや、届けたいことを中心に歌詞に起こしていくんですけど、これは初めてだったっていうのもあって、自分をさらけ出し過ぎるのが恥ずかしかったっていうか……。ですので、小説を読んでいるような感じで皆さんに聴いてもらえたらいいなと思って。ただ、空想だけになってしまうと、聴いている人と曲の間に距離感が出てしまうかなって思ったんです。歌詞には、五感にフィーチャーしている表現が結構出てくるんですけど、それはすごく意図的で。空想である分、感覚的な描写を増やすことで、皆さんにより“経験したような感覚”を味わってもらえたらいいなと思って書きました。

――『眺めの空』は、楠木さんにとってどのような曲ですか?

楠木 すごく、思い出深い曲で……。歌うと懐かしい気持ちになりますね。曲的にも、ちょっとノスタルジーな部分があるというか。
最初に「作詞作曲したいな」と思ってから、いつもボイトレやライブでお世話になっている多田三洋さんに「私、曲を作ってみたいんです」っていうお話をしたんです。そうしたら「作ってみてください」って背中を押してくださって。それからは、あまり悩まず、すごく早く完成した曲でした。
『眺めの空』は、ライブだけで披露していたところから始まり、インディーズとして音源になって、また録り直してリリックビデオもできて1st EPに収録されてという色んな経験をさせてくれた楽曲なので、そういう点でも思い出深い曲です。

◆03:『ロマンロン』
夢を追いかけている人を肯定してあげたいなと思って書き始めた曲

――曲のラストにある「僕の灯よともれ」という歌詞は、楠木さんの「ともり」というお名前とリンクしているように感じました。この曲に込めた思いをお聞かせください。

楠木 『ロマンロン』は、夢を追いかけている人を肯定してあげたいなと思って書き始めた曲です。私の友だちにも夢を追いかけている子がいるんですが、すごく難しい夢ということもあって、その子自身も「どうしようかな」って悩んでいて……。
成長していくにつれて、夢を追いかけることって難しくなっていくと思うんです。現実を知ってしまったり、周りから「今後どうするの」みたいなプレッシャーがあったりとか……。
夢を追いかけることって大変だし、時には否定的な言葉を受けることもある中で、自分を曲げずに夢を追う人に「頑張れ」ではなくて「すごくいいことだと思う」っていう肯定の気持ちを届けたいなって思って書き始めた曲です。
曲調としては、変拍子の曲を作りたいと真っ先に思っていて。なおかつ、キャッチーで癖になるような……聴けば聴くほど、より中毒性が出るような“スルメ曲”を作りたいなと思って書きました。

――ポジティブな思いがたくさん込められているのですね。『ロマンロン』は、楠木さんにとってどのような曲ですか?

楠木 これは、すごく攻めた曲という印象があって。変拍子っていう、今まで自分がしてこなかった挑戦をしていますし……ライブでもアップテンポで盛り上がる曲になっているので、元気になりたい時に聴きたいなと思う曲です。

◆04:『僕の見る世界、君の見る世界』
聴いて下さる皆さんにも、新鮮な気持ちになってもらえたらいいなと思います

――こちらの曲は、「ハミダシモノ」の作曲を担当されている重永亮介さんとの共作ですが、作曲をするにあたって、楠木さんご自身がこだわった点はありますか?

楠木 まず共作の重永亮介さんに歌詞を持っていき、「こんな感じの、爽やかな疾走感のあるロックチューンにしたいんです」というようなお話をして、それから重永さんにコードをつけていただいたんです。
今までは、歌詞・メロディ・コードっていう順番で曲を作っていたんですが、今回は歌詞のあとにすぐコードがあって、そこから鼻歌でメロディをつけていくことになったので、そこは新たな挑戦でした。自分らしさはなるべく無くさないように……でも、共作として自分だけじゃできなかった範囲に広がっていけるようにっていうことは意識していました。他の方が考えて下さったコードは、自分が普段考えるメロディの方向とは、また違った方向に行けるというか……自分の範囲を超えられる部分があるので、作っていてすごく楽しかったです。
今まで、メジャーコードの爽やかな曲ってあんまり作ってこなかったので、聴いて下さる皆さんにも新鮮な気持ちになってもらえたらいいなと思います。

――“新たな挑戦をした曲”ということですが、この曲は楠木さんにとってどのような曲でしょうか。

楠木 すごく自分を見つめ直させてくれる曲です。この曲は、自分に向けた曲でもあるというか……。自分自身も、聴いて元気になれるし、落ち着いて自分を見つめ直すきっかけになれる、すごく大切な曲です。

思い出も気持ちも詰まった自己紹介的なEP

――ファンの皆さまへメッセージをお願いします。

楠木 今回の表題曲「ハミダシモノ」は、『魔王学院の不適合者』を通してたくさんの方に聴いていただいていて、カップリング曲も、インディーズ時代にライブなどで聴いて下さった方もいらっしゃると思うんですが、今回は、自分でもどんな曲を入れるかじっくり考えた、思い出も気持ちも詰まった自己紹介的なEPになっています。今まで応援してくださっていた方も、これから私の音楽を聴いてくださる方にも全ての曲を是非聴いていただきたいです。よろしくお願いします!

出雲ゆき弥

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