• 待望の公開!『映画 ドラえもん のび太の新恐竜』を今井一暁監督が語る
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2020.08.06

待望の公開!『映画 ドラえもん のび太の新恐竜』を今井一暁監督が語る

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020



ホントに生きている恐竜

ーー今井監督にとって『のび太の恐竜』という作品はどんな存在でしょうか。

今井 僕にとっては『のび太の恐竜2006』が非常に特別な存在です。アニメーターになって数年した頃に公開されましたが、子供の頃からよく見知っていたはずの『ドラえもん』が、渡辺(歩)監督の手でとても映画らしい作品になっていつつ、同時にしっかり子どもに寄り添った『ドラえもん』にもなっていて。大きな衝撃を受けたし、憧れました。その頃は、まさか後に自分が『ドラえもん』を作れるとは思ってもいませんでしたが……だからなおさら、今回の作品はハードルが高かった(笑)。常に頭の中で渡辺監督の『のび太の恐竜2006』という存在は意識していましたが、同じものを作っても仕方がないので。自分自身が作りたいものを作ったらどうなるかな、という部分になるべく集中して作っていきました。

ーー『のび太の恐竜2006』と『のび太の新恐竜』の大きな違いのひとつは、手描きだった恐竜が3DCGで表現されていることですね。

今井 それが一番大きい変化です。手描きアニメーションの表現として、『のび太の恐竜2006』の恐竜はかなり最高峰に近くて、あれを超えるのがなかなか難しいと感じましたし、お客さんに与える恐竜の印象を変えたいという想いもありました。手描きのセルではどんなに頑張っても不可能なやり方で、恐竜の存在感を立たせられたらいいな、と。3DCGならば体表面のしわやゴツゴツした皮膚感、リアルな巨大感も表現できる。あとはいい意味での違和感、主人公たちとは違う時代・世界の存在という異物感、恐竜なりの存在感を際立たせて、「うわぁ生きてる! ホントに生きてる!」という感覚を出したかった。映画『風の谷のナウシカ』に登場する王蟲は、セルハーモニー (セルの上から色を塗ることで独特の質感を出す手法)で表現されていて、作品の中で強烈な存在感を示していました。あれが単なるベタ塗りのセルだったら、今のような映画にはなっていなかったと思うんです。そういうディティール、存在感を3DCGで表現できればと思いました。
手描きと3DCGを馴染ませることは、今なら技術的に問題なくできますが、今回はそうしたくなくて。3Dの良さを消さないようにしつつ、(全体的なセルアニメの)世界の中に入れ込む方法を試行錯誤して、なんとか今回の形に辿り着きました。3Dで恐竜をモデリングしてくださった、CGアニメーションスーパーバイザーの森江(康太)さんと巡り合えたことも、運がよかったなと思います。



ーー先ほど出た『のび太の恐竜2006』以外で、特にお好きな映画『ドラえもん』はありますか?

今井 『のび太の海底鬼岩城』かな。海底人が作った古代のテクノロジーがそのまま残っていて、海底火山の爆発を感知して報復攻撃を始めようとして、それをバギーちゃんが食い止めるというストーリーですが、大人になって見返した時に「何だこの神がかったプロットは!?」と(笑)。ワクワクするようなスケールの大きな冒険の中で、実は重たいテーマも描かれる。それも映画『ドラえもん』の大きな魅力だなと思います。

ーースケールの大きさでは、今回の『のび太の新恐竜』も負けていませんよね。

今井 広げ過ぎたフロシキをどう畳めばいいのかと、最後は少し苦しみましたが(笑)。劇場に観に来た子どもたちが、のび太くんたちと一緒に白亜紀に大冒険に出かけている気持ちになり、観終わった時に「帰ってきた!」と感じてもらえたらいいなと思っています。

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020

アニメージュプラス編集部

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