• 舞菜とともに成長した立花日菜さんが『推し武道』を振り返る!
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2020.03.29

舞菜とともに成長した立花日菜さんが『推し武道』を振り返る!

立花日菜さんが『推し武道』を振り返る!


――最終話までで舞菜も少し成長したと思いますが、戻ってオーディションの話も聞かせてください。

寺田 オーディションは結構な人数でしたね。

立花 絶対落ちたと思っていたので、びっくりしました。

――オーディション後の、感触的にはどうだったんですか。

立花 「やらかしたな」って思っていました。何だったらこのスタジオ、一生来れないんじゃないかなっていうレベルでした。アニメのスタジオオーディションに行かせてもらうのが初めてだったんです。提出したオーディションの次にスタジオオーディションがあるっていうのもよくわかってなかったし、どういうやり方なのかもよくわかっていなくて。どのマイクに入ったらいいのかもわからないし、持ってる水筒をどうしたらいいのかもわからない。すごくうろちょろしてたら、「落ち着いてください」って言われて、すみません、みたいな(苦笑)。たくさんの方が来られているので、時間もできるだけ短くいきたいじゃないですか。私みたいな余計なところで時間を使わせてしまって、絶対怒られると思って。怖かったです。

――そ、そんな感じだったんですか。

寺田 僕はそのときの挙動は覚えてないです(笑)。ただ候補を絞っていって、ふたりくらいまでになったあとに最後は平尾先生に決めていただこうという話になって。それで立花さんに決まりました。

立花 そうだったんですね!

寺田 もちろん、そこまで絞る段階ではスタッフ全員で意見を出し合いながらですが、最後平尾先生に一任したのは、他のキャストにはいなかったと思います。

立花 恐縮です。

――決まったというお話を聞いた時はどうでしたか。

立花 「え?」ってなりました。

――やらかしたはずなのに。

立花 間違いかなって。間違いじゃないかな、大丈夫かなって思いました。

寺田 アニメのオーディションって、技術の部分はもちろん必要な条件としてあるんですが、その先はスタッフのイメージに「合っている・合ってない」という部分も大きいと思うんですよね。その座組のイメージにハマるかどうかというのは、一期一会的なものもあると思っています。
 これは僕個人の意見ですが、立花さんはオーディションのときにはまだ不慣れさみたいなものがあって、多分それが今回のアニメで求められていたものと近かったんだと思うんですよ。まだ慣れてないという芝居が、このキャラクターには合うだろうという意味ですね。それは、立花さんの声優キャリアがまだ浅いから、アイドルのキャリアがまだ浅い舞菜と重なるということではなくて、立花さんの人生経験みたいなものがちゃんと芝居に出ていて、結果それがキャラクターと重なっているという。技術とは少し違う側面の話かもしれませんが、それはそれで芝居を最優先している考え方だと思います。だから、1〜2年後の立花さんが、今回と同じオーディションを受けたら、また違う結果になる可能性があると思うんですね。そういう意味でも、オーディションは一期一会的なものだと思っています。

立花 タイミング、本当に大事だと思いました。私、初めてのレギュラー作品がこの作品で本当によかったなとすごく思っていて。作っている方たちの熱量がすごくて、自分もそれに負けないくらい、この作品を大好きでいようって思えるし、思っていていいんだなと思える。私にとっては初めてのことだらけだったので、こういう風に作品と向き合うんだということを、キャストやスタッフの皆様だったり、音楽を作る方などにこういう風に歌ってくださいとかディレクションをいただくときに、信じていいんだと思いました。この空間にいる方達を信頼して一緒に仕事をして作っていけたらいいなって。だから信頼してもらえるように私も頑張ろうって思えたんです。すごい、いい場所でした、とても温かくて。

寺田 アフレコでもシーンによっては結構修正が入っていましたね。

立花 大変でした本当に。出して問題ないものにするのは仕事じゃないですか。お互いに。私もだし、ディレクションしてくださる音響監督さんももちろんなんですが、やっぱり怖くて。初めてのことだったので、できてないのはわかってるけど、どうやったらできるかもわかってなかったし、やっぱり先輩たちが後ろにいっぱいいらっしゃるので、「時間やばい」って。そういう面でも、最初にお話した佐藤さんが、声をかけてくれたことで、私は皆さんの後輩としているわけじゃなくて、市井舞菜役でいるんだから仕事はちゃんとしなきゃなと思えたというか。当たり前のことなんですが、恐縮してる暇があったら演技勉強してこいって思って。もちろん足りない部分はたくさんありましたけど、ちゃんと舞菜の成長に合わせて成長できるように頑張ろうって思いました。

――他にどなたかに相談したりしましたか。

立花 ファイちゃんはいつも相談にのってくれて。「こういう風にしたらもっとこうなると思うよ」ってアドバイスしてくれて、すごくありがたかったし、役柄的にれおちゃんとのシーンが多かったので、本渡さんに「ご迷惑おかけしたらごめんなさい」なんて言ってしまったこともあったんですが、「全然だいじょうぶだよ」って言ってくださったり、「できてたよ」とか私が安心できるような言葉をくださって、本当に安心して挑めるようになったなと思います。ファイちゃんが言ってたんですが、ファイちゃんはオタクサイドとしゃべることが多いじゃないですか。くまささんとの掛け合いのときに自由にやらせてもらえたことがよかったと言ってたんですが、そんな姿を見て、先輩にも物怖じしないというか。えりぴよさんだったらくまささんに物怖じするわけがないから。当たり前のことだけど、それを目の当たりにして「こういうことだよな、アフレコ」って思って。頑張りました。

――いい経験になったんですね。この時点の立花さんにとっていい出会いになっていた。

立花 そうですね。すごくいい刺激だったり皆さんからの優しさだったりをいただいて、勉強に本当になりました。すごく良い現場でした。

寺田 最終話のCパートで、間違えたほうの武道館、東京武道館で舞菜が「頑張るぞ」って言うところがあるんですが、あれは結構録りなおしてましたよね。最初、音響監督から出た指示だと、もっと「頑張るぞ!」みたいな強い意志のある雰囲気だったんですが、最初の芝居が結構力が抜けてる感じのものだったんですよね。

立花 抜けていましたね…。

寺田 結構録り直してもイメージの芝居になかなかたどり着かなかったのですが、最終的に、「この抜けた感じも、舞菜としてはこれはこれで正しいのか…?」みたいな感じになっていって(笑)。

立花 スタッフさんの間では、そんなことが話されていたんですか(笑)。

寺田 もちろん最初の芝居からはだいぶ変わっているんですが、放送されたものを見るとちょっと間抜けな感じもあって、あれはあれでCパートのコミカルな感じと合ってるいるのではと思いました。

立花 ずっと録り直していましたね。難しかったんですけど、本当に映像を消して音だけで何回も録って。「3回続けて言ってみましょう」みたいな感じで本当に。申し訳ない。そんなこともありました。

――本編中でChamの結束が固まったんだけど、最後コミカルな感じは、やっぱりChamはChamなんだっていう感じの印象はありましたよね。そういうときってブース内はどんな感じですか。

立花 私もまだその引き出しが多くないので、言われてることを一生懸命やっているつもりではいたんですが、今考えると確かに間抜けだったなと思います。スタッフさんの反応をパッと見ると、これじゃないんだって思いつつ、後ろをパッと見るとみんな「頑張れ」っていう顔をしてるから、頑張らなくちゃって。マイクと後ろをずっと交互に見ていてうろちょろしていました。

文/阿部雄一郎