事実は小説より奇なり佐倉 えりぴよさんには、アウリ先生が投影されているんですか?
▲『推しが武道館いってくれたら死ぬ』より平尾 ではないかな。と、思いますが。
佐倉 アウリ先生はどこから作品を見ていらっしゃる作家さんなのでしょう。神の立場ですか?
平尾 そうですね。神の立場ですね。
佐倉 そうなんだ。神の立場パターンなんですね! それにしてはリアルだなと思ったのですが。すべての作品が。
――もちろん実際のオタ活の中から生まれてきているものはあるんですよね。
平尾 そうですね。友達だったり、周りの環境から生まれたものはあります。えりぴよが1話のライブ中に鼻血出して倒れるっていうのも、友達の実話なんです。
佐倉 そうなんですか! それは女性の友達ですか?
平尾 そうです。
佐倉 すごい。実在するんですね。一番嘘っぽいと言うか、完全にフィクションの掴みシーンだろうと思っていました。
――そんな漫画みたいなこと、という出来事ですよね。
佐倉 事実は小説より奇なりってやつですね。『推し武道』は比較的、漫画っぽいテンポだなと思うのですが、短編や『まんがの作り方』では、リアルな会話の言葉回しが多いなと思っていました。
平尾 多分、自分の中に自分とは違う女子高生がいて、その子がしゃべってくれるんです。
佐倉 それを書き起こしてるんですか?
平尾 そうですね。こうありたかったな、という感覚もありますね。
佐倉 アシスタントさんはいらっしゃるんですか?
平尾 います。主に入ってくれてるのがひとり、時間があれば来てくれるのがふたりくらい。
佐倉 アシスタントさんには、どのくらい任せているんですか?
平尾 カラーは全て自分で描いていますが、モノクロのページのキャラクター以外はほとんど任せています。
佐倉 そうなんだ、じゃあ背景とかもアシスタントさんなんですね。
平尾 はい。
佐倉 そうなんだ~。面白い、そういう裏側はなかなか聞ける機会がないですよね。ということは、アシスタントさんもみなさん先生に合わせて手描きなんですか。
平尾 そうなんです。頑張ってもらってます。「普段はデジタルなんですけれど」って言われながら。ここでしかペン持ちません、なんて言われています。
佐倉 すごいな。いろいろ衝撃ですね。アナログだからかなのかはわからないですけれど、アウリ先生の線の震えみたいな部分がすごく好きなんです。谷川史子さんの作品もすごく好きなんですけれど、谷川さんの作品も少し線が震えていて、それがキャラクターの表情にとてもいい味を加えていて。
平尾 谷川先生いいですよね。私も好きなんです。実は、モノローグの絵にかかる心情の文字があるじゃないですか。あの配置は谷川先生を意識しています。
佐倉 すごい、つながった。私の感覚は間違ってなかった。うれしいです。
と、今回はここまで!
次回はアニメ『推し武道』のお話に移ります! お楽しみに!